[情報] 緒方恵美の、銀河で、ホエホエ。vol.86

作者: OGATA (HARUKA)   2009-05-15 23:40:45
◆◇ 「 緒方恵美の、銀河で、ホエホエ。」 ◇◆   2009年2月20日発行
                vol.86「ベサメムーチョ! 1/5」
 そんなワケで、1月27日〜2月3日の8日間、メキシコへ行ってきました!
 正確には、メキシコの首都・メキシコシティで開催される、TNTというアニメ・マン
ガエキスポに、ゲストとして招待されたのです。
 そこで3days、ライブを開催するということに!
 同行者はキーボーディストの森藤晶司、そしてジェオの社長・宮澤正人氏。宮澤氏
は、以前からいろいろお世話になっていたのですが、去年の12月から正式にJTBと提携
して私の音楽方面でのマネージメント・コーディネイトをやってくれることになった
のです。2人ともずっと一緒に音楽をやってきた仲間なので、初めての地でのライブで
したが、安心していくことができました。
 成田からサンフランシスコを経由し、トランジットを入れて約18時間。 ようーやく

かの地につきました。
 アメリカやヨーロッパにいくと時差が激しくてボケがでるのですが、それ+ほぼ真
下に4時間(+乗り換えで2時間、計6時間)かかっているせいか、時間がぐるっと回り込
んで、機内で爆睡した私はあまり苦しく感じませんでした。
 むしろ苦しいのは、息! メキシコシティは標高2000mの高地にあるので、空気が薄
いのです。+乾期なので、空気がカラッカラ! ふっつーに街を歩いている時が、ロス
コ(二酸化炭素のスモーク)吹き出しまくりのパンパンのライブハウスのステージに
いるのと同じような感覚なのです。
 こんなんでステージに立ったらダイジョブか?
 いやそれより、お客さんは入るのか?
 ……という、一抹の不安を、感じながら……。
 宿泊先はシェラトン。ホテルといえど安心できないこの国にあって、このホテルは
隣にアメリカ大使館、その向こうに日本領事館がある絶好の立地なので、比較的大丈
夫なのだとか。……ありがたい!
 でもこんな一流ホテルであっても、英語すら通じないスタッフも結構いる様子(公用
語はスペイン語)。
 「この国であなたのことを知らない人はいません」
 と、コーディネーターのyossyは言うけれど、、、 本当にこの国で、日本語の私の
芝居が受け入れられているのだろうか?
 疑問に思っていたら、ん? どこかから慣れ親しんだメロディーが?
 音の元をたどると、荷物を運んでくれはしてても、私が誰なのか「明らかにぜんぜ
んわかってない風情」のベルボーイの携帯の着メロが、何と「残酷な天使のテーゼ」!
 ……なるほど。
 そしてその翌日あった記者会見では、さらにびっくり!
 地上波テレビを含め、現地のメディアから、なんと総勢70〜80人の取材陣が!
 エヴァ等、大きな作品のイチ出演者として列席した時は除いて、こんなに記者会見で
集まっていただいたのは初めてでした。
 とはいえ、この記者会見は、……いろいろ大変でありました。
 危うく今までで一番辛く、悲しい記者会見になってしまうところだったのです。
 「お国柄」という言葉が一番適切なのかもしれないのですが、、、日本では当たり
前のことであることが、ムコウでは当たり前じゃない、「仕事としては常識では」と
いうことが常識じゃない。そういう「差異」がたくさんあったのですね。
 最初は「ん?」とちょっとひっかかるだけだった。その小さな「ひずみ」「ささく
れ」のようなものが、徐々に大きくなりはじめ、いろいろな場所で大きな壁となって
立ちはだかることになった。その最初が、この記者会見でした。
 詳細については割愛しますが、この時は、本当に……!
 ……あの瞬間を思い出すと、今でも体が震えます。
 あまりの状況に、図太い私が控え室に戻った途端力が抜け、「このまま帰ってしま
いたい」と真剣に思ってしまったような。。。
 プライベートでの旅行だったら、その差異も楽しめたのだろうなと思います。私は
そういう違いを知るのが好きだし、パンキッシュな方なので(笑)。
 ただ仕事となったら別。それでもやっぱりこのままじゃ帰れないと思いました。
 自分のためだけなら、逃げていたかもしれません。
 見えない力が、背中を押してくれました。
 会見場に戻り、質問形式じゃなく私から挨拶をさせて欲しいと頼みました。
 言葉を選びながら喋ったつもりですが、夢中で、何を喋ったのかよく覚えていませ
ん。でも気づいたら、あれほど微妙だった空気が動いていた。
 満場の記者の方々が席を立ち、私に、満面の笑顔と拍手をくれました。
 メキシコのメディアの方々が、日本から来たこの風変わりな役者を受け入れ、歓迎
してくれた瞬間でした。
 今までで一番辛いものになりかけていた会見は、今までで一番思い出深い会見にな
りました。
 あの瞬間は、一生忘れられないと思います。……きっと。
 ……なーんて書くと、どんだけ凄いトコか、メキシコ!?
 と、みなさんに思わせてしまったかもしれませんね(^^;;;すいません
 でも、ホント、「お国柄」のせいなんだと思います。
 現地コーディネーターを初め、招聘して下さった会社関係の方々はみんなとてもい
いひとたちだったし、最終的には、ライブはとても良い形で幕を引けたし、行ってす
んごくよかった! と思っているのです! 本当に!
 ただ、その途中が、いろいろ大変だったということ。
 まぁ何にせよ、成功までの過程はいろいろあるってことです。。。
 ともかく、会見は無事終わり、その夜はホッとして、みんなで乾杯をしました。
 こんな波を越えたのだから、きっともう大丈夫。そう思っていたのです。
 その時までは。
 でも、本当に大変だったのは……その、翌日からでした。
 (vol.87に続く)

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