No.364 思惑
煽り:護衛という名の刺客
ビンセントと対峙するクラピカ
クラピカ(正規国王軍を兼ねた第一王子の私設兵…!あからさまな捏造も容易に真実に
変えられてしまうだろう…!)
クラピカ(ならばこちらが正当防衛を理由にコイツを倒せばどうなる?)
クラピカ(我々がそれをやれば暗殺犯として国王軍に拘束され即有罪を免れない!)
ビンセント「おっとォォ危ないですよ~~~!ええ!」
ビンセント「それ以上近づくと…ワブル王子殺害計画犯の共謀者と断定し防衛権を行使
しますよ!?」
クラピカ(王妃と王子は最後の従者と共に残され次の刺客に殺される)
クラピカ(『従者が王子と王妃を殺し自ら死んだ』というシナリオを完成させるため…
!)
両手を上げるクラピカ
ビンセント「くくく…賢明です。貴方が緊急コールをしたクラピカさんですか?」
クラピカ「そうだ。知っての通り王子を狙うものは大勢いる。動機から考えればこの中
で最も危険なのはお前だ」
ビンセント「心外ですね。私の目的は『協力』ですよ…?」
ビンセント「現在ここで起きている『問題』を『解決』するために来たのです」
ビンセント「協力していただけませんか?」
ビンセント(そうすればお前たちの命は助けてやる…)
クラピカ(………クズめ)
クラピカ「我々は何があろうと御二人を御守りする」
コンタクトレンズを外すクラピカ
緋の目で王子と王妃を見つめる
クラピカ「信じていただけますかワブル王子オイト王妃」
途端に泣き止んだワブルがクラピカに手を伸ばす
ワブル「ば、あ」
ワブルの様子を見て決心するオイト
オイト「信じます!何があっても!」
オイトの言葉を聞いたクラピカは人差し指の鎖をオイトに飛ばす
注射器がオイトに刺さると同時にオイトの耳に具現化した通信機のような物が装着され
る
オイトの目の前に現れるイルカ
イルカ「オイト様これはアナタの頭と直接交信しています」
イルカ「現在アナタと私はクラピカの能力によって繋がっております」
オイト「!?!?」
イルカ「尚、私に搭載されたリトルアイの使用権はクラピカ様からオイト様に移行しま
した」
イルカ「これは能力を発動するまで有効です。尚、私の姿はクラピカとアナタにしか見
えません」
オイト「!?!?!?」
ビンセント(王妃を攻撃…!?『協力』にイエスという事か!?)
ビンセント(もう一人の護衛は!?)
オーラを纏い急所を腕で隠しながらビンセントに突撃するビル
ビルに発砲するビンセントだが弾丸は全て腕に命中
ビル「ぬうう!!」
ビンセント(半身で急所を隠した上、念でガードしている。銃では止められない)
手の平に纏ったオーラでビルを攻撃しようとするビンセント(強化もしくは放出系?)
ビンセント("虚空拳(エアブロウ)")
しかしビンセントの発は不発に終わる
クラピカのスチールチェーンがビンセントの太ももに刺さっていた
ビンセント(オーラを吸われて…!?)
クラピカ("人差し指の絶対時間(ステイルドルフィン)"吸い取った能力を他人に移動さ
せる!)
クラピカ(これによりスチールチェーンは別の能力を吸い取る事が出来る!)
ビルとクラピカによって拘束されるビンセント
クラピカ「ワブル王子暗殺未遂の現行犯で貴様を拘束する」
ビンセント「…何を言っている?」
ビンセント「警告を無視し私を攻撃してきたのはお前達の方だろう!」
ビンセント「私は王室警護兵として王妃と王子の護衛に来ただけだ!」
オイト「私が証言します。あなたがいくら小細工しようが奸計で抗おうが私達の命を狙
い罪もないサンドラを殺したのはビンセント!あなたよ!」
クラピカ「ご心配なくオイト王妃。私の能力を使えば彼は自ら証言台で全てを語ってく
れるでしょう」
奥歯に仕込んでいた毒薬を噛み自害しようとするビンセント
ビル「どうした!?」
クラピカ「毒だ!奥歯に仕込んでいたのか!」
ビル「吐かせよう!」
クラピカ「覚悟の服毒だ。手遅れだろう。国王軍に連絡してくれ」
ビル「このまま引き渡すのか!?せっかくの自白が…」
ビル「!?」
クラピカがビンセントの耳を指さしている
クラピカ「わかっている…それは確かに残念だが船内の裁判で片が付く事案ではない」
クラピカ「彼の自白で即黒幕逮捕とはいかないだろう」
クラピカ「我々や王妃が裁判に出廷する事で生じるリスクを考えると第一王子が静観す
るならばこちらも動かない方が得策だ」
ベンジャミンの自室
クラピカとビルの会話「死体をこちらに動かそう」
「…ちょっと待て」
ビンセントの耳に仕込まれていた盗聴器が破壊される
バルサミルコ「気付かれましたね。通信が途切れました」
バル「問題なのは敵の能力ですな…銃声の後わずか数秒間で拘束」
ベンジャミン「ビンセントが正常に念を使える状態ならば2対1とはいえ体術で秒殺さ
れるとは考えにくい」
ベン「敵のどちらかがビンセントを何らかの方法で念を使えない状況にしたためやむな
く銃で応戦…」
ベン「そいつもしくはもう一方が『自白に持ち込める能力』という事か?」
バル「逆も考えられます…念能力を敵に知られる事を躊躇し発砲。その判断が仇となり
敵に拘束されたとも…」
バル「他の兵には防衛権行使の際、速やかに念能力を使う様指示します」
バル「気になるのはやはり敵の能力…どうも腑に落ちませんな」
バル「敵が操作系の能力者ならば多くの場合『口頭での命令』が使われますがそれが無
い」
バル「しかもビンセントは発砲も反論も服毒も出来ている…」
ベン「ブラフの可能性もあると?あらかじめこちらの傍受に気付いていたという事か」
バル「はい。ただし能力が完全な虚仮とは言えませんが」
バル「あえて我々に聞かせるためと考えればあのやり取りは非常に合点がいきます」
バル「人間を操作できる能力者がいると匂わせればこちらは慎重にならざるを得ません
」
バル「ビンセントが自死を選んでいる以上、奴が死ぬ覚悟を決めるだけの根拠はあった
と考えるべきです
ベン「わずか2名となった護衛が思いの外任務に忠実で厄介な能力を持っているかもし
れない…か」
ベン「…くくく面白い…!」
ベン「バビマイナ。状況が変わり任務も変更となる。ビンセントの後任についてもらう
」
バビマイナ「は!」
ベン「これより貴様に託されるのは失敗の許されぬ最重要任務だ。命を賭して遂行せよ
!」
バビ「は!」
クラピカ(マラヤーム王子は常に飼っているハムスターを帯同している)
クラピカ(次の晩餐会でオイト王妃にサイールドの能力を発動してもらいハムスターを
操作出来る様にする…)
クラピカ(それが可能なら他の王子の状況を知る絶好のチャンスだが…)
クラピカ(次の晩餐会までほぼ丸一週間…1時間で150日…24時間で10年…1週間で…現
実的ではないな…)
クラピカ「王妃。大変混乱されている状況でしょうがその能力には時間的な制限があり
ます」
オイト「あの…私は一体何をすれば…」
クラピカ「小動物を操る能力は探査活動に最適です。その能力を使い他の王子の動向を
探ります」
クラピカ「理想的な生物はハエか蚊です。空中を移動できて日常に存在し比較的目立た
ない」
クラピカ「もしもそのどちらかを発見したら即ドルフィンに発動命令を出して下さい」
クラピカ「標的に命中させるまではドルフィンがやってくれます」
ドルフィン「クラピカそちらの能力を私に搭載しますか?」
ドルフィン「そうすればその能力の詳細が知れて使用も可能となり更に再びスチールチ
ェーンも使用可能で一石三鳥です」
クラピカ(確かにドルフィンに能力をセットすれば奪った能力の内容を知る事が出来る
上に一度の使用も可能…)
クラピカ(しかしそのかわり万が一その能力の発動条件が難易度の高いものだと…)
クラピカ(能力の使用自体が困難になり強制的にエンペラータイムの状態が続く事にな
る…)
クラピカ「いや、いまはいい」
クラピカ(それは即ちオレの死を意味する)
電話が鳴る
クラピカ「まずは手分けして室内を探しましょう。シマノ電話を頼む」
電話に出る女中(シマノ)
クラピカ(絶対時間の制約、発動時一秒につき一時間寿命が縮む…!)
シマノ「すいません交換台から貴方と話したいと連絡が…」
クラピカ「誰からだ」
シマノ「それが…同時に3人…ベンジャミン王子とチョウライ王子とツベッパ王子です
」
クラピカ「!」
オイト「…本来ならば上の王子から受けるのが筋ですが…現状だと後回しにされた王子
は敵対行為と受け取るかもしれません」
クラピカ「確かに…先に話した者と共謀したのではと疑われたら否定しても証明できな
い」
オイト「待たされた王子が電話を切っていたら宣戦布告です…!」
ドアのチャイムが鳴る。やって来たのはバビマイナ
次週へ
煽り:3本の電話に1人の訪問者、優先順位が生死を分かつ!
ワンピース連載20周年おめでとうございます!楽しんで、原稿に色々描き足しました<
義博>