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もう、黙ってはいられない。
四人の女どもが、鋭太を不幸にするのなら。不自由にするのなら。
僕は許さない。
絶対に許さない。
ねえ、チワワちゃん。
いや、春咲千和。
きっと君は、僕のことを「良い人」だって思っているだろうね。彼と自分の仲をさりげ
なく見守ってくれる、良い人。そんな風に思っていただろう。
僕が内心、どう思っていたかなんて、想像もしてなかっただろう?
幼なじみの特権を振りかざし、彼に我が物顔で抱きつく君のことを、僕がどんな想いで
見つめていたかなんて、考えたこともなかっただろう?
ねえ、秋篠さん。
いや、秋篠姫香。
君はずいぶん彼に好かれてるみたいだね。
女の子として、意識されてるみたいだね。
嫉妬するよ。
嫉妬する。
自分の中に、醜い炎が満ちていくのを感じるよ。
僕がどれだけそれを欲しがったか、君には想像できないだろうね。女の子のからだを持
つ君には、想像もつかないことだろうね。
ねえ、あーちゃん。
いや、冬海愛衣。
覚えてるかな?
一年生の夏休み、君が鋭太と花火大会に行けるよう、協力してあげたこと。
あの時、僕がどんな気持ちだったかわかるかい?
君は、僕の秘密の一端を知っているくせに、僕に協力をせがんできたよね。
賢い君でも、気がつかなかったのかい?
僕だって、君と同じくらい、彼のことを想っているなんて。
そして。
夏川真涼。
聞いたよ。君のしでかしたこと。
彼のことは、偽彼氏だったんだってね。
ずいぶんな「ルール違反」をやってくれるじゃないか。
しかも君は、今でも彼のそばにいて、なんだかいっぱしのパートナーみたいな顔をして
、心から通じ合ってるような顔をして──。
なんだよ、それ。
僕が我慢してたっていうのに。
ルール違反だから、彼を不幸にするだろうからって、ずっと我慢していたっていうのに
。
何故、君は我慢しないんだい?
何故、そんな容易く、ルールを破ってしまうんだい?
ねえ、教えてよ。